2018年12月3日月曜日

講師:
横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院 吉原 直樹教授

〜震災とコミュニティ〜
大熊町を事例として

創造的復興論の基調は阪神淡路大震災から東日本大震災に通底し、開発主義体制の延長上にあった。技術を主体とする大文字の復興は結果と成果を重視するものだが、社会学では生活の内部から生まれるコミュニティベイストな小文字の復興の姿勢でのぞむ。福島第一原発の事故によって避難を余儀なくされた大熊町での事例を参考に復興と再生について、社会学的観点から考える。




吉原教授は東日本大震災直後から福島県に入り、ボランティア活動と日本学術会議社会学委員会の会員としての活動を並行し、現在でも月に2回は会津若松市に通われています。会津若松には大熊町の方々の暮らす復興公営住宅があります。ボランティアとして、住民の方々に寄り添う中で、個人の求めるこれからのコミュニティのあり方と、国や自治体の目指す復興・再生には乖離が見られるのではないかと提起されています。国主導の、行政区を正常化し復帰を急ぐ復興政策で、置き去りにされかねない個々の問題にもスポットを当てることの必要性をお話しいただきました。
 講義終盤には、グループワークのチーム毎に、 大文字の復興と小文字の復興の是非について話しあいました。構造を整備する大文字の復興を行いつつも、それを機能させるコミュニティの復活、小文字の復興。両輪で展開することの難しさと重要性について考える時間となりました。