2017年2月1日水曜日

地域創造論2016年度 最終発表

1月30日(月)は地域創造論の最終発表を行いました。

発表内容は以下の通りです。

多文化共生チーム:『川崎市川崎区桜本町・池上町の住民らが共にふれあう「多文化共生」の場所としての「多文化キャンプ」の提案』 私たちのグループは、川崎市川崎区の桜本町と池上町の地域をフィールドとし、日本人を含め外国につながる住民らが共に交流できる場所を作りたいと思い、「多文化キャンプ」を提案したい。この地域の課題として、外国につながる住民(ニューカマーとオールドカマー)が多く住んでいるにも関わらず、彼らと日本人が交流できる場所がないということが挙げられる。したがって、私たちは非日常的な新しい交流の場であり、住民としてお互いを認識する機会を作られる場として「多文化キャンプ(まちキャン)」を提案する。町の中でキャンプをするという意味の「まちキャン」は、日本語が分からないニューカマーの外国人住民と、中々交流の機会がなかったオールドカマーの在日韓国・朝鮮人と、普通の日本人住民が共に参加し、協力し合う仕組みとなっている。これらの提案より、短期的には地域の住民がお互いを認識し、「多文化共生」への意識が高まっていき、中長期的には外国につながる住民の地域への所属感が高まっていくと期待できる。また、長期的には「まちキャン」が地域の定期的な行事として定着し、地域の住民の交流が活性化すると同時に地域経済の活性化にも貢献できると期待できる。そして最後に、波及効果として行事の開催領域が桜本町のみならず、池上町までに拡張していくことが期待できる。
 

エリアマネジメントチーム:『ローカルエネルギーの地産地消による次世代地域づくり 湯河原町におけるケーススタディ』 湯河原では、観光業の衰退や神奈川県でもトップクラスの高齢化が発生している。私たちは地域を網羅するように張り巡らされた町営の共同給湯管と温泉が余剰していることに着目し、温泉をエネルギーとして利用することによる地域の活性化策を提案する。現在、多くの旅館が撤退している市街地周辺エリアでは、既存街区内の未接道の土地を、土地に接する住宅のための温泉エネルギー設備(熱交換器)とコモンスペースとして整備することで、高齢化社会に対応したハード整備とコミュニティ醸成を図りながら、市街地整備を進める。また、公共施設の建て替えが迫っていることに着目し、建て替えに合わせてバイナリー発電を一体的に整備することで、非常時の防災性の高い地域拠点整備を図る。さらに地域内では、温泉街と交通拠点、観光資源の距離が離れている点を改善するため、バイナリー発電によるEV(電気自動車)を導入し、スローツーリズムの推進を図る。ローカルなエネルギーを地域内で活用することで、その地域ならではの暮らしや営みを生み出していく提案を行った。 
 

若者自立支援チーム:『有給別荘から始めるスローコミュニティ in Hayama(葉山)』 働きたいけども不安な若者達を対象に葉山町の有休別荘を拠点として共同生活を送りながら就農・就漁プログラムを実施することで、葉山特有の別荘文化を継承しながら若者自立支援と1次産業の活性化を図る提案。都会で忙しく働くよりも、地方の小さなまちのコミュニティに入りのんびり暮らす方が向いていると思われる若者を呼び込む。プログラム毎の違いなどから緩やかにコミュニティが変化していく生活をとおして、業務スキルの習得や、ライフスタイルの適正判断をする機会を与えるというもの。所有者の高齢化によって管理が困難となった有休別荘を改修し、参加者の共同生活の場として再活用する。改修費は所有者が負担するが、家賃収入及び入居者が育てた地域作物、別荘の空き室貸出による収入などを収益として得ることができる。就農支援と別荘活用という二つの側面を総合的にマネジメントするための事業体をつくり運営していく。プログラム終了後は空き家活用事業を並行して行い参加者の定住機会を提供することで葉山での継続的な暮らしを支える。



観光チーム:
『生業×観光で考えるまちづくり(鎌倉)』 鎌倉にあるローカルな魅力を掘り起こし、地元の農家や鎌倉で活躍するシェフの活動の場や工芸など、鎌倉の日常から外国人観光客に向けてPRする仕組みを考えます。鎌倉の生業が培った工芸技術や食材を地元住民向けに加工した商品に注目します。外国人観光客の間でワード・オブ・マウスによって伝わることから、その拠点施設を立ち上げます。またアンケート調査によって分かったことは鎌倉にはあまり滞在せず、横浜に泊まる人が多いということです。このことから鎌倉の日常的な食を巡るツアープランとして既存の寺など有名なルートに加え、鎌倉のリアルなライフスタイルを体験してもらうことも考えています。今回主な敷地として提案する鎌倉農協連即売所は85年も前から存在し、鎌倉発祥の地で、日本で初のマルシェといわれる場所です。ここは農家が自立するために自らが販売する組織を作ろうという共同意識によって生まれました。地元の主体である農協連即売所をより観光客にも開くこと、地元の農家、シェフの交流の場となること、新たな仕事を創り出す場所を目指します。そしてここを拠点に商店会の店主や職人を巻き込みながら新たな企画とネットワークが、住民のまちづくり意識を醸成させ、鎌倉文化やそれを生み出す生業が持続する一助になれば良いと考えています。