2017.11.20
ゲスト講師:
南三陸研修センター 浅野拓也さん / 安藤仁美さん
【南三陸町における復興の様子と「みんなのまちづくりゲーム」】
宮城県の南三陸町は、東日本大震災によっておよそ20m程の高さにおよぶ津波が発生し、宅地の75 %が浸水、建物の62%(約3千棟)の被害を受けました。その後、ハード面においては平地の部分は5~6mの盛土がされ、住宅や公共施設は山の斜面を削って造成された高台に移転する計画で復興事業が進められています。
一方で、ソフトの面においては、震災の影響を含めて人口減少の割合は全国ワースト3位であり、高齢者率は3割程度、そのほかにも医療の不足など、課題先進地域としての状況があります。そのため、ハード面におけるゼロからの建て直しと併せながら、日本における最新のモデルとなるようなまちづくりを目指しています。
目指すビジョンは「森 里 海 人 いのちめぐるまち 南三陸町」です。このビジョンの「いのちめぐるまち」というフレーズには、被災地ならではの思いがあります。多くの命が失われた町において、生かされた命をどう使うのか、ゼロからの復興のなかで住民自らが自分の存在意義と、未来へつなぐ自分自身の役目を感じていることが伺えます。
そしてこのビジョンを具体的に進めていくためには、まちづくりへの意識・共有と人材育成が必要になってきます。
そこで人材育成に向けた1つのツールとして「みんなのまちづくりゲーム」が開発されました。
このゲームでは、各プレイヤーが森・里・海・街・都市・行政の立場となって、政策や事業となるアクションを選択しながら、お金や税が廻る状況をシュミレーションし疑似体験できるカードゲームになっています。そして、ゲームの最後にゲーム内容をみんなで振り返ることで、自分たちが選択したまちづくりの方法について評価を行います。まちづくりで大事なことは、果たしてお金を稼ぎ残すことなのか。本当の豊かさとは何なのか。実際に住んでみたい街とはどのような街なのかを議論し、まちづくりに必要な様々な価値観について気づいてもらうことができます。
このようなゲームを通じて、横浜国立大学においても講義で学んだ知識をゲームを通じて疑似体験し、その内容を自らが評価することで、思考能力を育てていき、さらには実際のまちづくりの現場でも活かせられる人材を創出していきたいと考えています。