2017年12月11日月曜日

2017.12.11

ゲスト講師:
on design 西田司 さん + 伊藤彩良さん

【オンデザインによるまちづくりへの取組み  - オンデザインの実験- 】


横浜を拠点として建築設計活動を行ってきた西田氏が率いるon designでは、10年程前からまちづくりに関わる活動も行なってきている。その主な事例として、横浜市における「みなまきラボ」の運営パートナーとして事務局担当、Ishinomaki2.0としての復興活動、公園の新しい使い方に向けた「パークキャラバン」、そして横浜スタジアムにおけるCommunity Ball Park プロジェクトなどを紹介頂いた。

プロジェクトの運営のポイントとして、small startによる始め方や、未完成状態をデザインすること、見えない変化を見逃さないこと、いろんなことに興味をもつこと等、幾つかのコツや進め方について教えて頂いた。

建築設計を行いながらまちづくりも行なうスタンスや、 どのように職能を活かすか、という観点は、建築業界においても非常に参考にできる。

このような、オンデザインによる都市への取組みは、2018年2月に発売の「オンデザインの実験」(TOTO出版)においても紹介される予定。

2017年11月27日月曜日

2017.11.27

講師:
国際社会科学研究院・成長戦略研究センター 
梅野匤俊 客員教授

【地域と地域の関係  -  現在・今後  - 】


東京の一極型で人口集中や交通網の構築があるなかで、今後の地方(地域)は各町の特徴を十分に発揮していく必要がある。地方(地域)と地方(地域の)の間をつなぐ好事例として、飛行機による交通網としてFDA(フジ・ドリームエアラインズ)は、地方から地方への工場誘致、市場開拓、観光等を促す特異なインフラとなっている。また、市場を日本国内の大都市に依存するのではなく、地方から近隣のアジア各都市に設定し開拓した方が距離的に近い場所もある。

次に、これからの働き方や場の活かし方について考えてみると、ドラッカーが言う「パラレル・キャリア」として第2の人生、第2の仕事を考えていくことも有効的で、その場合は若い時からパラレルキャリアを意識して活動していき、自らをマネジメントすることが大切だ。

また、オーデンバーグによる「サード・プレイス」を参考しながら、現代における第3の場の力や活動の仕方について考えると、パラレル・キャリアに掛け合わせて「Dual Space(2つの場所)」を持って活動することも言いだろう。

<都市と地方>あるいは<地域と地域>をまたぎながら活動することで、異なる環境、異なる人々の中でで活動することで、仕事や生活の幅に大きな拡がりが生まれる。そして、そのような働き方によっては、東京一極型を打破し、地方にまで経済効果を波及させることができる一策となるであろう。


2017.11.20
ゲスト講師:

南三陸研修センター 浅野拓也さん / 安藤仁美さん

【南三陸町における復興の様子と「みんなのまちづくりゲーム」】

宮城県の南三陸町は、東日本大震災によっておよそ20m程の高さにおよぶ津波が発生し、宅地の75 %が浸水、建物の62%(約3千棟)の被害を受けました。その後、ハード面においては平地の部分は5~6mの盛土がされ、住宅や公共施設は山の斜面を削って造成された高台に移転する計画で復興事業が進められています。

一方で、ソフトの面においては、震災の影響を含めて人口減少の割合は全国ワースト3位であり、高齢者率は3割程度、そのほかにも医療の不足など、課題先進地域としての状況があります。そのため、ハード面におけるゼロからの建て直しと併せながら、日本における最新のモデルとなるようなまちづくりを目指しています。

目指すビジョンは「森 里 海 人 いのちめぐるまち 南三陸町」です。このビジョンの「いのちめぐるまち」というフレーズには、被災地ならではの思いがあります。多くの命が失われた町において、生かされた命をどう使うのか、ゼロからの復興のなかで住民自らが自分の存在意義と、未来へつなぐ自分自身の役目を感じていることが伺えます。
そしてこのビジョンを具体的に進めていくためには、まちづくりへの意識・共有と人材育成が必要になってきます。
そこで人材育成に向けた1つのツールとして「みんなのまちづくりゲーム」が開発されました。

このゲームでは、各プレイヤーが森・里・海・街・都市・行政の立場となって、政策や事業となるアクションを選択しながら、お金や税が廻る状況をシュミレーションし疑似体験できるカードゲームになっています。そして、ゲームの最後にゲーム内容をみんなで振り返ることで、自分たちが選択したまちづくりの方法について評価を行います。まちづくりで大事なことは、果たしてお金を稼ぎ残すことなのか。本当の豊かさとは何なのか。実際に住んでみたい街とはどのような街なのかを議論し、まちづくりに必要な様々な価値観について気づいてもらうことができます。

このようなゲームを通じて、横浜国立大学においても講義で学んだ知識をゲームを通じて疑似体験し、その内容を自らが評価することで、思考能力を育てていき、さらには実際のまちづくりの現場でも活かせられる人材を創出していきたいと考えています。

2017年11月7日火曜日

2017.11.06

講師:
高見沢 実  地域実践教育研究センター センター長, 都市イノベーション研究院 教授

「大学と地域連携」


 例えばサンフランシスコのシリコンバレーでは、大学が持つ研究機能と地域にある企業が連携して、世界的なイノベーションを起こしている。その結果、サンフランシスコはアメリカにおける「創造都市度」ランキングにおいても第2位の位置づけとなっている。そして、そのような地域には、クリエイティブな職能・働き方・環境を求めてクリエイティブな人材が集まる傾向があり、住みたい都市としても人気がある。

 サンフランシスコがもつ都市圏も、神奈川県も、およそ同じ程のスケール・大きさであり、神奈川県内には本学だけでなく沢山の大学がある条件を踏まえれば、大学と地域が連携したイノベーションができるのではないか !?


 そのような考察とビジョンが、これまでに高見澤先生が携わってきた本学における地域実践センターの副専攻プログラム「地域交流科目」や「地域創造科目」をはじめ、都市イノベーション学府、そして都市科学部の設置の根底に反映されていることも感じられた。

 「大学と地域が連携することによる効果は、経済的な指標だけではなく、他の指標による効果も考えられるのではないか。」と講義後に おっしゃっていたことが印象的であった。

2017年10月30日月曜日

2017.10.30

講師:
国際社会科学研究院 小池治 教授

政策形成の基礎 ~政策科学的アプローチから~



公共政策というのは、科学者、技術者、NPOなど高度な専門知識と社会において実践的に活動するアクターの視点など、総合的かつ公共的な視点が必要とされていますし、科学的なデータと分析のもとで、総合的な観点から政策を形成する必要があります。
今回の講義では、これまでにも30年間にわたり、行政の方にもレクチャーしてきた「政策科学的アプローチによる政策形成の基礎」に関する方法論を教えていただきました。

政策案の作成においては、下記のようなスキームで検討していきます。
①目標を設定すること
②目標を達成するためのプログラムを考えること
③新しい発想で事業をデザインすること
④効果的な手法・手段を検討すること
⑤利用可能な「資源」を検討すること
⑥スキーム(実施の仕組み)を考える
⑦目標達成までのロジックモデルを作成すること

この中で、ロジックマップは、ある課題に対して問題や原因を探っていくためにポストイットに書き出していき、その因果関係をつなげてマップを作成していくものです。

そして、ロジック・モデルは課題に対するインプットとアウトプットを設定すること、そして短期・中期・長期のアウトカムを積み上げて計画することで、誰にでもわかりやすい論理的な構成が必要です。
以上のような内容を政策の企画書として提出することが必要とされています。
2017.10.23

講師:
南区 区政推進課企画調整 係長  望月優彦
都市イノベーション研究院 准教授 佐藤峰

 「多文化共生に向けた現状と取組み」



外国とつながる(外国籍等) 子どもが増えつつある。特に日本語指導が必要な児童生徒は、愛知県につづき神奈川県は全国で2番目に多い。横浜市内では中区、南区、鶴見区が多く、南区では生徒の半分が外国籍等の子どもであるクラスもあるという。このような状況と地域において、多文化共生に向けてどのような政策があると良いだろうか。今後のグループワークにおける1つの課題が提供された。


2017年10月16日月曜日

2017.10.16

講師:
国際社会科学研究院 教授 小池治
「里山の保全と活用」 ~神奈川の取組を中心に~

  神奈川県における里山は、宅地やゴルフ場開発による都市化によって非常に少なくなりつつあり、神奈川県では20地区の保全対象地域が選定され、里地里山の生態系の保全を始め、収穫イベントや体験学習などが行われています。
 横浜国立大学においても、2015-2016年度にかけて「里地里山の保全効果」に関する学際的研究を行い、健康・人材育成・景観・地域経済等に関する研究を行い、神奈川県に政策提案をしました。
 日本における里山保全活動は、環境省やユネスコとの連携のもと「SATOYAMAイニシアティブ」として世界にも発信されています。
 「SATOYAMA」は、「ローカルからの発想が、日本を変える、世界を変える。」にぴったりなテーマですね。

参考情報サイト:
横浜国立大学による「里地里山の保全効果」に関する学際的研究の概要版
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/576670.pdf

●横浜国立大学における「かながわ里山探検隊」の活動の様子
http://ynusatoyama.wpblog.jp/?page_id=12 


2017年度 地域創造論「オリエンテーション」

今年度で6年目を迎える「地域創造論」が10月9日に始まりました。

この授業は、大学院の副専攻プログラム「地域創造科目」の
コア科目として位置づけているものです。

今年度のテーマは、2015年度から引き続いて
「ローカルからの発想が、日本を変える、世界を変える。」です。

そして、本テーマの3カ年の講義をおさめた総集編として、
年度末にはブックレットが発行される予定です。
(多くの方にご覧頂けるよう、電子媒体による無償ダウンロード形式です。)

当サイトでは各回の講義の様子を「ほんの少し」だけご紹介します。
詳しい内容はブックレットの発行までぜひお待ち下さい。


どうぞお楽しみに。

2017年2月1日水曜日

地域創造論2016年度 最終発表

1月30日(月)は地域創造論の最終発表を行いました。

発表内容は以下の通りです。

多文化共生チーム:『川崎市川崎区桜本町・池上町の住民らが共にふれあう「多文化共生」の場所としての「多文化キャンプ」の提案』 私たちのグループは、川崎市川崎区の桜本町と池上町の地域をフィールドとし、日本人を含め外国につながる住民らが共に交流できる場所を作りたいと思い、「多文化キャンプ」を提案したい。この地域の課題として、外国につながる住民(ニューカマーとオールドカマー)が多く住んでいるにも関わらず、彼らと日本人が交流できる場所がないということが挙げられる。したがって、私たちは非日常的な新しい交流の場であり、住民としてお互いを認識する機会を作られる場として「多文化キャンプ(まちキャン)」を提案する。町の中でキャンプをするという意味の「まちキャン」は、日本語が分からないニューカマーの外国人住民と、中々交流の機会がなかったオールドカマーの在日韓国・朝鮮人と、普通の日本人住民が共に参加し、協力し合う仕組みとなっている。これらの提案より、短期的には地域の住民がお互いを認識し、「多文化共生」への意識が高まっていき、中長期的には外国につながる住民の地域への所属感が高まっていくと期待できる。また、長期的には「まちキャン」が地域の定期的な行事として定着し、地域の住民の交流が活性化すると同時に地域経済の活性化にも貢献できると期待できる。そして最後に、波及効果として行事の開催領域が桜本町のみならず、池上町までに拡張していくことが期待できる。
 

エリアマネジメントチーム:『ローカルエネルギーの地産地消による次世代地域づくり 湯河原町におけるケーススタディ』 湯河原では、観光業の衰退や神奈川県でもトップクラスの高齢化が発生している。私たちは地域を網羅するように張り巡らされた町営の共同給湯管と温泉が余剰していることに着目し、温泉をエネルギーとして利用することによる地域の活性化策を提案する。現在、多くの旅館が撤退している市街地周辺エリアでは、既存街区内の未接道の土地を、土地に接する住宅のための温泉エネルギー設備(熱交換器)とコモンスペースとして整備することで、高齢化社会に対応したハード整備とコミュニティ醸成を図りながら、市街地整備を進める。また、公共施設の建て替えが迫っていることに着目し、建て替えに合わせてバイナリー発電を一体的に整備することで、非常時の防災性の高い地域拠点整備を図る。さらに地域内では、温泉街と交通拠点、観光資源の距離が離れている点を改善するため、バイナリー発電によるEV(電気自動車)を導入し、スローツーリズムの推進を図る。ローカルなエネルギーを地域内で活用することで、その地域ならではの暮らしや営みを生み出していく提案を行った。 
 

若者自立支援チーム:『有給別荘から始めるスローコミュニティ in Hayama(葉山)』 働きたいけども不安な若者達を対象に葉山町の有休別荘を拠点として共同生活を送りながら就農・就漁プログラムを実施することで、葉山特有の別荘文化を継承しながら若者自立支援と1次産業の活性化を図る提案。都会で忙しく働くよりも、地方の小さなまちのコミュニティに入りのんびり暮らす方が向いていると思われる若者を呼び込む。プログラム毎の違いなどから緩やかにコミュニティが変化していく生活をとおして、業務スキルの習得や、ライフスタイルの適正判断をする機会を与えるというもの。所有者の高齢化によって管理が困難となった有休別荘を改修し、参加者の共同生活の場として再活用する。改修費は所有者が負担するが、家賃収入及び入居者が育てた地域作物、別荘の空き室貸出による収入などを収益として得ることができる。就農支援と別荘活用という二つの側面を総合的にマネジメントするための事業体をつくり運営していく。プログラム終了後は空き家活用事業を並行して行い参加者の定住機会を提供することで葉山での継続的な暮らしを支える。



観光チーム:
『生業×観光で考えるまちづくり(鎌倉)』 鎌倉にあるローカルな魅力を掘り起こし、地元の農家や鎌倉で活躍するシェフの活動の場や工芸など、鎌倉の日常から外国人観光客に向けてPRする仕組みを考えます。鎌倉の生業が培った工芸技術や食材を地元住民向けに加工した商品に注目します。外国人観光客の間でワード・オブ・マウスによって伝わることから、その拠点施設を立ち上げます。またアンケート調査によって分かったことは鎌倉にはあまり滞在せず、横浜に泊まる人が多いということです。このことから鎌倉の日常的な食を巡るツアープランとして既存の寺など有名なルートに加え、鎌倉のリアルなライフスタイルを体験してもらうことも考えています。今回主な敷地として提案する鎌倉農協連即売所は85年も前から存在し、鎌倉発祥の地で、日本で初のマルシェといわれる場所です。ここは農家が自立するために自らが販売する組織を作ろうという共同意識によって生まれました。地元の主体である農協連即売所をより観光客にも開くこと、地元の農家、シェフの交流の場となること、新たな仕事を創り出す場所を目指します。そしてここを拠点に商店会の店主や職人を巻き込みながら新たな企画とネットワークが、住民のまちづくり意識を醸成させ、鎌倉文化やそれを生み出す生業が持続する一助になれば良いと考えています。

2017年1月16日月曜日

地域創造論 最終提案に関する提出物について


最終提案に関する提出物についてご報告します。

(1)提出物
1.提案発表内容の要約
文字数:450字 + 提案の特徴をまとめたppt1枚(写真・図)
用紙サイズ:A4サイズ
提出日:発表当日(1/30)の朝まで
提出先:chiki-ct@ynu.ac.jp
(遅れる場合は25部印刷し、授業開始直前に現地で配布)

2.パワーポイント
提出日:発表当日の授業開始直前

3.個人レポート
内容:提案に自身の専門知識を活かしたこと(貢献したこと)
提出日:2月10日(金)
用紙サイズ:A4サイズ(1枚にまとめる)
提出先:地域実践センター:志村 chiki-ct@ynu.ac.jp