2015年1月28日水曜日

地域創造論 2014年度 第15回「総合討論」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第15回目となります。
 今回は、いよいよ「総合討論」です。第12回でのアドバイスなどを踏まえ、3週間の間にブラッシュアップしてきた成果を発表していただきました。
 【県西グループ】〔対象地域〕神奈川県秦野市大根・鶴巻地区下大槻団地
1.地域(課題)の分析
 県西チームが対象とする神奈川県秦野市大根・鶴巻地区では、団地に流入する高齢者の増加が課題となっています。なぜなら、そうした高齢者がコミュニティへの溶け込みに失敗すると、孤立しがちになり、認知症や孤独死といったさらなる問題につながってしまうからです。彼らの分析によれば、秦野市としては世代内での共助を目的とした支援活動を行っていますが、行政主導では、世代間交流や意識改革といった点で課題が残ります。実際のヒアリング結果によってもその点が課題とされ、また「定年後における高齢者の活躍」も課題であることが分かりました。そこで彼らは、「重層的ネットワークによって、自然につながれる場や仕組み」を構築することによって、(1)世代間交流(若者の高齢者理解)、(2)帰属意識をもてる地域、(3)自立、自己責任意識をもち「より幸せな生活を自分達で作る」意識を培うといった目標を、住民主体で実現する必要があるとしました。
2.具体的な提案内容と「ポスト3.11の新しい地域像」の提示
 このような現状分析を行ったうえで、彼らは、現在空き店舗となっている空間で住民主体の活動を行い、さらにそれを商店街前の広場での活動に広げることで、最終的に「広場を中心とした地域の交流の活性化につなげる」ことを提案しました。利用方法としては、商店街の空き店舗を日、週、月の短期間貸しスペースとして活用することで、実験段階でのリスクを減らし、誰でも気軽に活動を提案できるような、「自然に集まるゆるい集まり」を創出します。具体的には、例えば秦野特有の湧水を活用し、湧水を活用した食べ物・飲み物(コーヒーやお茶、そばなど)を提供したり、「秦野らしい」シンボル、ないし緊急災害用備蓄水として「湧水貯水タンク」を店内に設置したりします。また、団地南部の農地を活用し、団地住民が耕作放棄地で栽培した農産物を販売・調理し提供するという活動も考えられます(これにより、健康への意識向上も図る)。また、こうした活動は室内だけではなく、広場にも広がっていきます。例えば、地場野菜や秦野の湧水を使ったマルシェを開いたり、地域の幼稚園、保育園、小学校、高校の子供たちが授業の一環として店舗のお手伝いや湧水汲みなどを行います。こうしたコンテンツを挿入することによって、世代間交流をうながし、地域の賑わいを生み、活動をつうじて高齢者と子供、あるいは大人同士が顔見知りになることで、無理のないかたちで、お互いを気にかける地域コミュニティが形成されていきます。
【産業グループ】〔対象地域〕神奈川県横浜市港北区綱島地区
1.地域(課題)の分析
 産業チームが対象とする神奈川県横浜市港北区綱島地区は、昭和期には大規模工場地帯として栄えていましたが、現在では住宅の流入が進み、住工混在地区となっています。2019年に「新綱島駅」が開業予定であることもあり、この地域には発展が期待されていますが、一方で旧駅と新駅の連結や駅前の個性のなさが課題となっています。また、住工混在となっている現状についても、住民と工業関係者が互いに無関心であることも問題です。
2.具体的な提案内容と「ポスト3.11の新しい地域像」の提示
 こうした現状に対し、産業チームとしては、「新駅設置に伴い、更なる人口増加・町工場・工場への圧力が増加することで、綱島の個性が失われる」ことを課題と認識し、その解決案として(1)「工」を生活の一部にしていく(ライフスタイルの提案)、(2)技術を引き継ぐ場所にしていく(コンテクストの引き継ぎ方の提案)という2つの方向性を示し、「町工場を消滅させるのではなく、地域の中に上手く溶けこませるべきである」としました。具体的には「綱島駅と新綱島駅の間に位置する綱島街道に、工業の機能をもった通りをつくる」というものです。例えば、「ものづくりを生活の一部にするファブカフェ(工場の技術を活かして地域住民の生活を豊かにする)、「工場群の多様な技術を借りて生産したものを販売するショップ」、「工場の技術を発信するショウルームのようなギャラリー(製品や技術が展示される)」、「産業を知り、技術を学ぶスクール(工業を新しく始めたい人や後継者を育成する)」、「子供たちに産業を教育する空間(学童のように学校帰りの生徒が立ち寄る)」といったコンテンツを通りに配置することで、工業を身近に感じてもらえるようにするとのことです。こうすることで、これまで活用が不十分であった綱島の既存の建物や町工場の技術などの地域資源を、新旧の住民にと共有し、さらにそれを生活の中で活用してもらうことで住民の生活をより豊かにします。そして、そうやって地域が一体となったコミュニティを育んでいくことによって、大規模災害時の共助の力を高めていきます。
【コミュニティグループ】〔対象地域〕神奈川県横須賀市津久井 万代会館
1.地域(課題)の分析
 コミュニティチームは、情報の伝達・共有、高齢者への避難補助、助け合いといった観点から、「Post 3.11における地域の課題」を「災害時における地域コミュニティの重要性」と設定しました。彼らが対象とする万代会館は現在、茅葺屋根の葺き替え費用などの問題があり、横須賀市からの助成金が廃止になる危機に瀕しています。一方、彼らのヒアリング調査の結果、万代会館には文化的な価値があるほか、防災拠点としての認識もあるため住民には「残してほしい」との想いがあるようです。また、茶道、囲碁、俳句といった住民活動の場としてほぼ毎日1部屋は利用されていますが、部屋数が多いため、利用率は約50%程度にとどまっています。結論としては「万代会館の認知度が低く、そこが利用できることが知られていない」、「HPから空き室情報が分からない」、「耐震、改修、施設運営などの資金不足」といった課題があることが分かりました。
2.具体的な提案内容と「ポスト3.11の新しい地域像」の提示
 このような現状に対し、①万代会館を広く知ってもらい、価値を高める、②将来耐震改修をおこなったり、運営資金にする為に積立をする、③経費削減のため、補修は有志を中心に市民活動で行う、といった活動によって、「地域の財産を守ることで、長く住み続ける地域に万代会館を中心としたコミュニティの創造」を目指すというものです。まず、地域住民に対しては、引き続き、防災拠点やコミュニティ形成の場所としての位置づけを維持してもらいます。一方、茅葺き修理ボランティア希望者については、HPを利用して、施設利用の空き情報と共にイベントや修理活動のスケジュール等を告知し、さらにブログ形式で修理の経過を報告することで、活動の記録と周知を図っていきます。また、空き室をサテライトオフィスやギャラリー、外国人の宿泊場所として、有償で貸し出すことによって運営資金を捻出し、その資金を積み立てることによって補修費用などを賄っていくことも考えられます。実際の運営は「歴史的建造物保全活用推進員」が中心となり、歴史的文化遺産を有効に活用しながら保存・継承を図ります。こうすることによって、災害発生前に地域住民同士のコミュニティを形成・強化し、「万代会館が、①避難拠点+コミュニティ形成の拠点となる、②地域単体だけでなく、外部からの力を活かしながら地域のコミュニティ形成・防災を行うモデルケースとなる」ことが期待されます。
【海グループ】〔対象地域〕神奈川県横浜市西区みなとみらい ポートサイド地区
1.地域(課題)の分析
 海チームは、東日本大震災の教訓として、地域住民間の日常的な連携や対話を重視したコミュニティづくりの重要性が重要であるとしました。彼らが対象としたポートサイド地区は、戦前は卸問屋、食器業者、飲食店、小売店といった店が連なる歓楽街でしたが、戦後の接収により商店が分散してしまいました。そして現在は、アート&デザインのまちづくりの推進や新興マンションへの新規住民の流入など、その様子は様変わりしようとしています。しかし、彼らがまちあるきして抱いた印象は、「ものばかりが溢れていて、人の活動が感じられない寂しさ」でした。実際にヒアリングをしてみても、「アート縁日などのイベントは続いているが、地域にコミュニティがない」とのことでした。しかし、そのヒアリングでは同時に、「このまちには、「友だち」によるつながりづくり、あるいはローカルチャー(大衆文化)と緩やかなコミュニティづくり」が必要になるであろうとのヒントを得ることができました。結論としては、この地域には、「住民同士の内部のコミュニティが希薄であること」、そして「地域外部とのつながりにも乏しいこと」という課題があるとしました。
2.具体的な提案内容と「ポスト3.11の新しい地域像」の提示
 こうした現状に対し、彼らは「アート縁日」と「横浜中央卸売市場」という地域資源を活用し、地域の内外の人々がつながる場を創出する必要があるとします。具体的には、オーストラリアのシドニーフィッシュマーケットやインドネシア・バリ島のバドゥン市場などの事例を参照しつつ、さまざまな教室(料理や歌など)の活動を通して、ポートサイド地区内の人々同士が触れあうと同時に、「いちばー」という「漁師さんや卸業者などの魚や野菜に詳しい人たちが一般の人向けに、おいしい料理の仕方や見極め方などを教えてあげながら食事をしたりお酒を飲んだりするところ」をつくってみることを提案しました。こうすることで、市場を地区内外に向けて開放すると同時に、日常的な活動を活性化させることで、アート縁日というイベントをさらに盛り上げます。そして、そうしたことが地域住民間の日常的な連携や対話を生み出し、コミュニティの強化につながります。
【教育グループ】〔対象地域〕神奈川県鎌倉市長谷地区
1.地域(課題)の分析
 教育チームは、自分たちが興味・関心のある社会的課題から出発し、空き家問題と子供の教育問題を一体的に解決する道を模索しました。空き家問題については、彼らの対象とする神奈川県鎌倉市において、現状把握や空き家での活動内容に課題があります。一方、鎌倉市の放課後児童については、現在、「長谷子ども会館」や「だいいち子どもの家」、「第一子ども会館」といった施設が、年間述べ1万人という規模で活発に利用されており、放課後に子供たちが遊んだり集まったりできる場所の需要はあるようですが、「市としての拡充計画は立てられておらず、また運営方式などを民間と協力して実施する計画は現状ではない」そうです。
2.具体的な提案内容と「ポスト3.11の新しい地域像」の提示
 こうした現状分析にもとづき、彼らは「蕾の家」の事例を参照しつつ「地域につながる題材を子どもに提案し、子どもの求めるものを引き出して活動や行動に結びつける学びを追究する自由学校を創る」ことを目的として、「学校で理解できなかったことが分かるようになる支援教育」、あるいは「地域の歴史や地理的風土、景観を重視したプログラム」を空き家で提供していくとしました。具体的には「鎌倉文学館を活用し、鎌倉の文人から学ぶ」、「鎌倉の植生から、自然について学ぶ」、「鎌倉時代の歴史新聞づくり」、「鎌倉野菜を使ったおやつづくり」、「鎌倉まつりに参加し、伝統文化の魅力を発信する」といった活動を想定しています。これにより、放課後の児童が「地域の学びを通じて、地域に愛着を持ち、地域の人びととつながり、地域の一員として鎌倉の未来を創造していく人材となる」と同時に、空き家については、「住まいながら運営していく新たなビジネスモデルの可能性」、「空き家の減少により土地が有効に利用され、まちの景観が維持される」、「空き家を活用した活動から新たな雇用の創出や交流の促進が期待できる」といった効果を期待することができます。最後に彼らは「ポスト3.11に向けて」、「高齢者だけの世帯や単身世帯、ひとり親家庭などが増加している中で、子どもを接点として地域の人びとと日常的なつながりを持ち、互いに見守り合う関係を構築しておくことが、災害時においても有効である」、「空き家が減少することで建物に目が行き届き、火災・倒壊の危険性を低め、減災につながる」という意味での、「新しい地域像」を提示してくれました。

 それでは、以上をもって本年度の地域創造論は終了となります。ブログをご覧になっていただいたみなさま、約4ヶ月の間、どうもありがとうございました。


山川博彰

2015年1月7日水曜日

地域創造論 2014年度 第12回「グループワーク⑤:調査結果発表とディスカッション」

打ち合わせの様子
 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第12回目となります。
 今回は、「グループワーク⑤:調査結果発表とディスカッション」ということで、第09回でのアドバイスなどを踏まえ、3週間の間に調査・話し合いした成果を5分程度で報告していただきました。各班の進捗状況は以下のとおりです。
【県西グループ】
県西チームは、前回からの上積みとして対象地域に「秦野らしさ」がないことを課題ととらえていました。それゆえ、「秦野らしさ」を創出するために、前回さまざまに出したキーワードのうち、水無川の河川敷を活かして、例えば地元の農業や産業を出展する、秦野を知るための祭りを開催してみたらどうかという案が出たそうです。班としては、そうしたイベントをつうじてコミュニティづくりのきっかけとしたいとのことでした。これに対し、先生方からは「例えば子供と高齢者では、興味をもつものが違う」、「どうもアイディアどまりなので、各自の専門性を活かして客観的に提案のシミュレーション効果を検証できないか」、「一年に何回もないイベントではなく、例えば買い物といった日常生活に密着した運動のようなものの方がコミュニティ強化という最終目的に対して、シンプルな回答なのではないか」といった意見が出されました。
【産業グループ】
産業チームは、前回着目した「多層的」産業のうち、工業に絞って考えていくとのことでした。しかし現時点では、具体的な提案内容が出せていないので、今後は綱島という地域に対する考えを工業会や区にヒアリングしに行くほか、現状の産業構造を将来的に維持していくのか、それとも寿命を迎えた後のあり方を考えていくのかを判断するために、社会構造的な調査もしたいそうです。そして、「工業地帯に新興住宅が流入することによって生まれる新しい地域のあり方」を考えていきたいようです。これに対し先生方からは「時期が時期だけに、事前にもっと絞り込んで方向性をしっかりと決めてから集中して取り組んだ方がいい」という意見が出されました。
【コミュニティグループ】
コミュニティチームは、万代会館と横須賀市役所にヒアリングに行ってきたそうです。そこでのお話によると、「万代会館の利用者は、多くが高齢者であるが、稼働率は50%程度にすぎない。利用されていない理由は主に、不便であることと利用できることが知られていないから。また、万代会館の大きな特徴のひとつである茅葺屋根の葺き替えに2000万円近い費用がかかることもあって廃止対象になっている」とのことでした。このような現状に対し、班の中では、国際色豊かな横須賀らしく、例えば観光客と地元の子供が協力して茅の葺き替え作業を体験してみてはどうかという案が出たそうです。これに対し先生方からは「維持費のお金を税金ではないかたちでいかに回収していくのかを考えなければ、本質的に廃止対象からは脱却できない。例えば、観光客のゲストハウスといったかたちはどうか」、「万代会館の現状をもう少し詳しく調べた方がいい」といった意見が出されました。
【海グループ】
海チームは、「アート縁日」というイベントの責任者の方にヒアリングしてきたそうです。それによれば「地域の中でコミュニティができていないことが課題であるために、イベントに対しても『うるさい』といった苦情が来てしまう。それゆえに、日常的なつながりを確立できないかを模索中」とのことです。そして今後については、提案を煮詰めていくそうです。これに対し先生方からは「最初の関心や各自の専門性は活かされるのか」といった意見が出され、メンバーからも「ともすればこうしたアートイベントは、アーティストたちが住民を置いていってしまいがち」という意見が出されました。
【教育グループ】
教育チームは、今泉台のプロジェクトを研究している本学の大原研究室にヒアリングしたそうです。その結果、「空き家と活動希望者とのマッチングが難航しており、運営システムに問題があるケースが多い」ということが分かったそうです。そこで今後は、運営システムが比較的うまくいっている「蕾の家」にインタビューして、その結果から提案を考えたいとのことでした。これに対し先生方からは「ヒアリングのアポイントメントの日が決まるまでに、例えば運営システムがうまくいかない理由を分析するなど、時間を効率的に使った方がいい」といった意見が出されました。

 それでは、本日の内容は、以上となります。なお次回(0114日)と次々回(0121日)は、「グループワーク⑥&⑦:課題解決に向けたアプローチをつくるⅠ&Ⅱ」(実質的な現地調査や話し合いの時間)が予定されているため、ブログの更新はお休みとなります。したがって、次回の更新は20150128日の「総合討論」です。
山川博彰
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【事務連絡】
グループワークに関するレポートの提出期限が、最終発表時の0128日に変更になりました。
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2014年12月10日水曜日

地域創造論 2014年度 第09回「グループワーク②:中間発表Ⅱとディスカッション」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第09回目となります。
 今回は、「グループワーク②:中間発表Ⅱとディスカッション」とあるように、各班が15分程度(発表:8分、質疑・アドバイスなど:7分)で前回の発表を踏まえた途中経過を発表しました。各班の発表内容とそれに対する意見の概要は以下のとおりです。
【県西グループ】
県西グループ
県西チームは、秦野市の中でもとりわけ「弘法の清水」で有名な地域について、商店街がシャッター街になってしまっていること、比較的昔から地元で暮らしてきた住民とベッドタウンとして暮らしている住民が分離していてコミュニティが希薄になっていること、水無川のオープン・スペースが活用されていないことなどを課題としていました。それに対し、グループとしては、生活用水として用いられてきた湧水を遠くに住む人や高齢者へ届けることなどによってコミュニティを強化したり、水無川のオープン・スペースで地元の野菜などを販売することによって、農業や産業を盛り上げたりしていきたいそうです。一方、先生方からは「湧水を使いすぎていることも問題となっている」、「ベッドタウンの人々と昔からの住民は物理的に離れすぎてはいないか」といった指摘があり、全体としてはまだそれぞれがバラバラに案を出しただけで、ひとつのストーリーになっていないことが課題とされました。
産業グループ
【産業グループ】
産業チームは、綱島に新駅ができることに注目し、主に綱島地域の歴史について調べてきました。それによると、綱島は温泉街やモモの産地として有名だった時代から、交通の便が向上したことなどにより、箱根に湯治客が流れた結果、ベッドタウン化し、現在はパナソニックが別の地域に工場を移転したため中小企業が困っているそうです。彼らはこれを「多層的な産業」と表現し、地域の歴史の中でいくつもの産業が塗り重ねられているとしました。そうした歴史をもつ綱島という地域に対し、彼らは住民同士、あるいは産業同士、住民と産業が連携することによって新しい駅前空間のあり方を提案したいそうです。一方、先生方からは「具体的な課題や提案の中身は何か」、「今後どういった調査をするつもりか、あるいはどこにヒアリングしにいくのか」といった指摘があり、全体としては具体的な課題の設定や「歴史の層に眠っている産業を復活させるのか、それとも新たな産業を塗り重ねるのか」といったことが課題とされました。
【コミュニティグループ】
コミュニティグループ
コミュニティチームは、県営住宅の一般的な課題としてコミュニティの希薄化が問題になっていることに注目し、津波の浸水被害などに対する脆弱性があることを指摘しました。また同時に、横須賀にある万代会館という歴史的建物に対する助成金が廃止される可能性があることを取り上げました。それゆえ、近くにある津久井浜団地に対し、万代会館を活用することでコミュニティの強化に取り組んでいきたいそうです。一方、先生方からは「本当にその団地でも、コミュニティの希薄化が問題として意識されているのか」といった指摘があり、全体としては、まずその地域の住民や自治会の方々にお話をうかがったうえで、具体的に万代会館で何をするのかを考えることが課題とされました。
【海グループ】
海グループ
海チームは、前回の反省も踏まえてみなとみらい周辺の地域を調べ直した結果、「みなとみらい地区よりもその近くにあるポートサイド地区の方が、改善の余地が大きいのではないか」との結論に至り、古い建物が更新されずに残っていることや空き店舗や空き倉庫が多いことなどを課題として挙げていました。そのほか、「高効率かつ有効な地域熱供給はできているか」、「予測によれば津波の浸水域とされている」、「地域内部で完結していて、外とのつながりが感じられない」といった点にも注目していました。これに対し、リノベーションや護岸の整備、自然エネルギーの活用、芸術をとおしての地域振興といったアイディアで課題を解決していきたいそうです。一方、先生方からは「具体的に誰が空き店舗などを使うのか」、「既存の地域計画との関係や位置づけはどうなっているのか」、といった指摘があり、全体としてはまだひとつひとつの要素同士がバラバラであること、もう少し地域の課題を掘り下げる必要があることが課題とされました。
【教育グループ】
教育グループ
教育チームは、前回に引き続き彼らが「もったいない空き家」と呼ぶ空き家の有効活用をテーマとしていました。具体的には今泉台という地域の空き家を活用したいとのことですが、その空き家の活用によって、子育ての孤立化や放課後の子供たちの居場所づくり、伝統の伝承といった問題を解決する一般的なモデルを提案したいそうです。しかし、現状では鎌倉市では空き家のマッチングがうまくいっていなかったり、現実的で綿密な運用計画がなければ空き家を使用できないため、さらに事例を深く調査していくそうです。一方、先生方からは「そもそもなぜ空き家になっているのか」、「空き家の所有者も誰にでも貸すわけではないそうだ」「外国人のゲストハウスとして活用し、掃除などを地域の人がパートとして担当する事例もある」といった指摘があり、全体としてはもっと地域の特性を分析し、地域のニーズに合った提案を考えていくことが課題とされました。

 それでは、本日の内容は、以上となります。なお次回(1217日)と次々回(1224日)は、「グループワーク③&④:現地調査」が予定されているため、ブログの更新はお休みとなります。再開は20150107日の「グループワーク⑤:調査結果発表とディスカッション」からです。その際には、各班510分程度で調査の途中経過を報告していただきます。
山川博彰

2014年12月3日水曜日

地域創造論 2014年度 第08回「これまでの成果概要報告とディスカッション」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第08回目となります。
昨年度の成果をプレゼンする高見沢先生
 前回述べたように、今年度の講義部分は前回で終了し、本日からグループワークに入っていきます。本日は、「これまでの成果概要報告とディスカッション」と題し、前半の60分は、高見沢先生が昨年度の発表を簡単に披露し、後半の30分はグループワークやディスカッションの時間としました。
 「これまでの成果報告」では、高見沢先生がプレゼンテーションした昨年度の発表成果を学生のみなさんで批評しました具体的な発表の内容はこちら。その際、「分析は良いのかもしれないが、具体的な活動を提案できていない」、「全体としてのまとまりがない」、「目先のお金儲けにばかり目がいっているのでは?」など、さまざまな指摘が出されました。こうした指摘は、翻って自分たちがこれから練り上げていく提案にも跳ね返ってきます。「他者の成果を客観的に見るからこそ気づくことがある」という意味では「岡目八目」と言えるでしょうし、「過去(他人)の失敗を教訓にして、自分はそうならないようにする」という意味では、「他山の石」と言えるでしょう。
 しかし、なによりも重要なのは、チーム内でよく話し合いの時間をもつことです。昨年度の発表においても、あまり集まる時間を取れなかったグループは、概して低い評価しかもらえず、逆によく話し合ったと自負しているチームの出来は良かったそうです。
 後半のディスカッションにおいては、前半の批評に刺激を受けたのか、各班とも活発な議論が行われているようでした。
 それでは、本日の内容は、以上となります。次回は、1210日、「グループワーク②:中間発表Ⅱとディスカッション」が予定されています。

山川博彰
議論をする学生のみなさん

2014年11月19日水曜日

地域創造論 2014年度 第07回「木造仮設住宅の可能性」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第07回目となります。
 本日は、都市イノベーション研究院の江口亨先生による「木造仮設住宅の可能性」の講義が行われました。その内容は、主に「みなし仮設と余剰ストックの有効活用」と「木造応急仮設住宅」の2本柱で構成されていました。
説明をする江口先生
【みなし仮設と余剰ストックの有効活用】
 みなし仮設とは、被災世帯が入居する民間賃貸住宅を都道府県が借り上げ、一定額の家賃や共益費などを2年間負担する制度のことです。東日本大震災直後には約7万戸の仮設住宅が必要となりましたが、突然大量の需要に応えなければならなくなったために、用地の選定や資材の確保などに時間がかかり、結局3ヶ月経っても、25000戸しか確保できませんでした。この3ヶ月という時間は、実は非常に重要な意味を持っています。つまり、それだけの時間があれば、新築の戸建て住宅を建てられてしまうのです。また、仮設住宅は決して快適な居住環境を保証できるわけではないにもかかわらず、坪単価や家賃といった費用の面でもあまり優秀であるとは言えないという実態がありました。そこで注目されたのが、既存の空き家や空き室を利用したみなし仮設の制度でした。くわえて現在、日本には全国で約820万戸の空き家が存在しています。これはなんと、神奈川県の全世帯数(約397万世帯)の2倍以上の数字です。また、成熟社会に突入したことによって、新築住宅の着工件数も年々減少しつつあり、「建てる時代」からの構造転換を迫られています。それゆえに、平常時・非常時のどちらにおいても、空き家や空き室をうまく活用していくことが求められています。
説明を聞く参加者
【木造応急仮設住宅】
 先程の話にも出てきた、(応急)仮設住宅とは、災害救助法にもとづき都道府県の発注により建設される住宅を指し、原則として災害発生後20日以内に着工し、着工後2ヶ月以内に完成することが法的に求められています。しかし、東日本大震災の際には、先程も述べたとおり、あまりにも大量の需要に応える必要に迫られたため、一般的な鉄骨系仮設住宅の供給が追いつかず、実際に約10%が木造で建設されました。こうした選択肢を増やすことは、災害に備えるにあたって是非とも考えるべきことであるため、現在その可能性の検証が行われています。実際に奈良県や熊本県では、地元の林業振興も兼ねた災害協定が結ばれていたため、木造の仮設住宅を供給したそうです。しかし一方で、資材調達や職人の確保といった課題があります。つまり、木材は基本的に、木を伐採してから自然乾燥しないと建材として使えないため、その分のタイムラグが大きく、また平常時には注文を受けてから伐採・加工作業に入り、在庫を用意していないため、非常時の緊急供給が難しいということです。くわえて、現在大工さんのなり手が減少していることに加え、とりわけ僻地といわれるような不便な場所で災害が起こった際には、職人さんがそこまで片道何時間もかけて通わなければならないということもあります。それゆえに、現在こうした課題を解消することが求められています。

 本日の内容は、以上となります。今年度の授業の講義部分は本日で終了となり、次回からはグループワークのためのディスカッションや現地調査となります。次回は、1203日、「これまでの成果概要報告とディスカッション」が予定されています。
山川博彰

2014年11月12日水曜日

地域創造論 2014年度 第06回「神奈川県の被害予想と対策」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第06回目となります。
 本日は、都市イノベーション研究院の稲垣景子先生による「神奈川県の被害予想と対策」の講義が行われました。
【ハザードと脆弱性】
防災について説明する稲垣先生(右奥)
稲垣先生は、防災・減災の分野において、人的・物的な被害の大きさは、「被害=ハザード×脆弱性」と表すことができると言います。ここでいう「ハザード」とは、地震や台風、火山の噴火、洪水などの「被害のきっかけとなる外力」のことです。一方、「脆弱性」とは、建物の耐震・耐火性能の低さ、コミュニティの希薄さ、建物の密集と道路幅員の狭さなどの、「外力による影響の受けやすさ」をいいます。現在の技術力では、「ハザード」をコントロールすることは難しいため、主に「脆弱性」の方に対策の力点が置かれています。
【被害想定やハザードマップの見方】
 そのような都市や地域の脆弱性を洗い出し、効果的な対策に役立てるために、行政機関から「被害想定」や「ハザードマップ」といった情報が提供されています。しかし、こういったものを活用する際には、いくつかの注意点をおさえなければなりません。
注意点の1つ目は、被害想定を算出する際には、必ず特定の「条件」に基づいて算出しているということです。つまり、例えば地震の被害想定についていえば、「県央部を震源とした、震度7クラスの地震が、冬の夕方に発生した場合、建物の倒壊は○○棟で、火災によって××件の建物が焼失します」というように、特定の震源、規模、季節、時刻にハザードが発生した場合のことについての情報が「被害想定」として算出されます。しかし、それゆえに、震源や規模などの条件が少しズレただけで、実際の被害状況は大きく異なります。
注意点の2つ目は、算出する際に使用する式はあくまでも過去の経験則にもとづいていて、さらに非常にザックリとした指標を使っているということです。実際に、現在公表されている被害想定は、阪神淡路大震災のときに、「1981年以降の建物は、震度XY%倒壊し、それ以前の建物はZ%倒壊した」という実測データに基づいた「被害率曲線」に準拠して算出されています。しかし、これもまた想定を上回る災害が起これば、実際の被害は大きく変わってくることになります。
それゆえに、被害想定やハザードマップといったものを過信しすぎることなく、あくまでも「その地域の相対的な特徴を把握するための手段」として考えておいた方が賢明であると言えます。
【情報の活用】
質問をする参加者
 そのように、被害想定やハザードマップの限界について理解したうえで、共助が働くコミュニティづくりや行政からの情報提供や避難指示を待たない、自主的な判断力の養成が必要となってきます。しかし、こういった点については、例えば、避難指示を呼びかけても避難率が向上しなかったり、あるいはハザードマップの情報を過信しすぎて、結果的に逃げ遅れてしまう人がいるということが、現実には課題となっています。それゆえに、もちろん防潮堤の建設や建物の耐震性の強化などのハード面での対策も必要となってきますが、それと同時に、「釜石の奇跡」で中学生たちが発揮したような自主的な判断力の習得や共助として一緒に避難することができるようなコミュニティづくりが必要となっています。

 本日の内容は、以上となります。次回は、1119日、都市イノベーション研究院の江口亨先生による「木造仮設住宅の可能性」についての講義が予定されています。
山川博彰

2014年11月5日水曜日

地域創造論 2014年度 第05回「グループワーク①:グループ課題中間発表Ⅰ」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第05回目となります。
本日は、第02回のときに結成した各グループによる課題設定と今後の方針についての発表がありました。
発表前の話し合い・打ち合わせ
【県西グループ】
県西グループは、「食」や農業の問題、高齢化、山に囲まれた地形、商店街の空き店舗など地域の特徴や課題になっていそうなものを列挙していき、とりわけ地域であまり活用されていない地域資源の活用と地域の魅力をアピールするための情報発信力の弱さについて、事例を紹介しながら注目していました。一方、まだ具体的に追及していく課題を設定できていない点や「ポスト3.11の新しい地域像」というテーマを考えられてない点が今後の課題とされました。
【産業グループ】
産業グループは、農地とされている所が、実際には資材置き場や倉庫として使用されていて、本来の目的としてきちんと活用されていない点や経済的な成熟期の社会における町工場と地域との関係性を課題として挙げていました。この点、グループのみなさん曰く「まだひとつには絞れていないけれど、『地域の産業の活動をまちづくりの一環として取り込み、まちに溶け込ませていきたい』という点は共通している」そうです。農業と工業はある意味で相対するものかもしれませんが、なんとか上手く融合させることができれば面白くなるのかもしれません(あくまでも、「欲張る」ことを選択した場合ですが)。
【コミュニティグループ】
コミュニティグループは、主に「丘陵地における高齢化・希薄化したコミュニティ」と「防災」の2点に注目していました。コミュニティについては、「実際に会わなくても、情報でつながるコミュニティ像」というアイディアを、防災については、事例を紹介しつつ、「災害時に街灯の光の色が変わることによって、避難所まで行けるようにする」というアイディアを出しました。一方で、まだ両者が別個の問題として独立していて、ひとつの「全体」になりきれていない点が、今後の課題とされました。
【海グループ】
海グループは、とりわけ横浜駅周辺の災害に対する脆弱性に注目していました。そのうえで、人口集中、オープンスペース不足、災害時のエネルギー供給、治安といったキーワードを、「防災」を軸として総合的に解決していきたいとのことでした。一方で、事前復興を考えるにあたって、被害が大きいと思われる帷子川の氾濫への視点がかけていることや、現段階においては「防災」が全面に出すぎていて、多様な専門性をもつはずのグループ構成が活かされていない点が今後の課題とされました。
【教育グループ】
教育グループは、「空き家を子どもの教育に活用していく」というテーマを設定しました。それゆえに、今後は空き家バンク制度が神奈川県内で最も進んでいる鎌倉市の事例について、調べていくそうです。そして、そういった空き家の活用をつうじて、高齢者と子どもが共存できる居場所づくりや防災につながるコミュニティづくりを達成していきたいとのことでした。一方で、単なる鎌倉の事例の普及とならないように、グループ独自の視点で具体的な課題や地域像を設定していくことが今後の課題とされました。

 本日の内容は、以上となります。次回は、1112日、都市イノベーション研究院の稲垣景子先生による「神奈川県の被害予想と対策」の講義が予定されています。
山川博彰

産業グループ
県西グループ


コミュニティグループ
海グループ








 



教育グループ