第5回の本日は、横浜国立大学 経営学部の松井美樹先生に『レジリエントなサプライチェーン「俊敏性」と「リスク分散」』というタイトルで講義していただきました。
今回は地域とは一見無関係そうな企業が持続・継続していくためにどのようなことに注意していかなくてはならないかという視点でお話をしていただきました。
「レジリエント」とは「回復・復元・適応」といった言葉で、東日本大震災やタイの洪水の後に、メーカーが部品などの調達が困難になり製造ができなくなったことで注目度が上がった言葉です。
製造業のようなサプライチェーンでは本体のメーカーになんのダメージがなくとも、部品製造会社や素材の調達先の会社に問題が起こると、最終製品ができなくなってしまいます。したがって、サプライチェーン全体としてすぐに回復し、事業継続していくことが求められます。
そのために、主導権をもつメーカーなどが一次下請けだけでなく、二次、三次下請け、その先まで含めたサプライチェーン全体を把握すること、そして、リスク分散のため複数の調達ルートを確保しサプライヤーを状況に合わせて組み替えることなどが重要になってきます。
災害後の地域においてももちろん敏捷な復旧が求められますから、企業の対策の中にも参考になる要素があったように思います。
また、企業は利益を上げることが第一目的ですから、災害の多い日本ではどうしてもリスク対策を十分に行わないといけない分国際競争においては不利とも言えます。企業は国籍を持たないので日本から出ていった方がいいと判断すればどんどん出ていってしまいます。
地域を考えるときに企業の存在も無視はできないということも考えさせられました。