第4回目は、横浜国立大学 都市イノベ-ション研究院で文化人類学(開発人類学)、開発とジェンダー、パラグアイ地域研究、質的評価の研究をしていらっしゃる藤掛洋子先生に「国境を越えひろがる市民活動~国際協力と地域活動をつなぐ~」というタイトルで講義していただきました。
藤掛先生の20年にわたるパラグアイでの経験やミタイ(こども)基金の活動をもとに、文化人類学の立場から、「地域とその文化を理解する」ことの重要性について、お話いただきました。
映像を交えながら、パラグアイの概況をお聞きするなかで、農村部の貧困について深く考えさせられました。貧困層が多く住む農村において、特に、「マチスモ」という文化規範のもと、女性の立場が弱くても、それが「当たり前」とされているようです。また、公用語のひとつであるグアラニー語を話すだけでは、職業機会が限られてしまい、貧困からの脱却が困難になっているとのことでした。
藤掛先生が携わった生活改善プロジェクトを通じて、野菜の消費拡大、献立改善、スペイン語による教育機会、ジャム加工工場の建設・運営が図られ、少しずつ貧困村であるサントドミンゴ村での地域おこしが軌道に乗り始めました。農村女性たちの目の前のニーズ(実際的なニーズ)が徐々に満たされていきました。
これらを通じて、「マチスモ」文化の相対化が図られ、農村女性自らが、自分たちの状況を見直し、改善に取り組んでいくという変化が生じたということです。外部者であるからこそ、その地域文化の違和感を察知できる一方で、やはり当事者の文化を尊重しなければいけない、でも、やはり改善が必要な部分もある…というジレンマの中で、当事者自身が目の前のニーズ(実際的なニーズ)の実現を通じて、より自分たちの立場を相対化して改善に向けて進んでいくという戦略的なニーズが達成された点について、興味深く感じるとともに、地域の現場で取り組むことの重要性も感じました。
また、日本人学生による国際協力として、現地にいかなくても十分に貢献できるというお話も聞くことができました。
日本の農家との協力で、収穫作業を学生が行い、余剰分をわけてもらい、それらを加工・販売した収益の一部をパラグアイに送るという取り組みについては、地域の農家に対する支援がまた国際協力にも貢献できるということで、素晴らしいアイディアです。
このように地域において文化や貧困の問題はあっても、地域にある具体的な課題を少しずつ解決していくことで、その地域住民が変化していく過程を学ぶことができました。まさに、「地域創造」のひとつの現れではないでしょうか。
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