2012年11月29日木曜日

第8回 地域空間のモビリティと持続性


第8回の昨日は、横浜国立大学 都市イノベーション研究院 交通研究室の中村文彦先生に「地域空間のモビリティと持続性」というタイトルで講義していただきました。



自動車に依存しすぎることの問題や自動車を優遇しすぎた空間の問題として、温暖化の促進、大気汚染など、環境負荷の増加の問題はよく耳にするかもしれません。

しかし、その他にも交通事故の増加や、高齢化の移動困難者の増加、郊外化の促進など、都市問題も多く存在します。そのためにも自動車中心ではないまちづくりが必要になってきます。



世界では自動車指向から脱却した発想でまちづくりを行なっている場所もたくさんあります。専用道路を設け、公共交通であるバスのネットワーク化を促進し大量輸送を可能にしているクリチバや、外周道路沿いに駐車場を設け、中心地区ではトランジットモール化し歩行者と自動車を共存させているフライブルク。

ソウルでは、川の上にフタをして建てられた高速道路を撤去し、以前の川を復活させた清渓川の事例もあります。ここでは、撤去した高速道路分の交通量を処理するために、周辺の違法駐車の取り締まりを強化し、有効に使える車線を増やしたり、地下鉄やバスの整備を行い、公共交通の強化を図り、自動車交通量の問題を取り締まりや他の交通機関で対処して総合的に解決した点が特徴的です。



単に交通をどう処理するかではなく、そのまちをどのようにしたいかというビジョンを実現するために交通をどうするかという考え方が重要であるというお話がとても印象的でした。

LRTやコミュニティバスを導入したいという場合も導入自体が目的になってしまうことがあるそうです。そうではなく、LRTを導入することでまちをどうしたいのか、コミュニティバスを導入することで何を実現したいのかといったことを考えることで、わざわざ新しいものを導入しなくても、既存の交通機関のルートを変えることで解決できるかもしれないといったこともあります。


物事をどう変えていきたいのかという目的をきちんと見定めることの重要性を教えていただきました。

2012年11月15日木曜日

第7回 前半の振り返り

第7回の昨日は、氏川先生の講義の予定でしたが、変更になり、みんなで前半の講義を振り返り、地域創造に必要な視点、それぞれが気になったことを討論しました。



誰が主体となるのか、どこまでの規模を想定するのか、いつに焦点を当てるか、など地域創造にあたっての条件をどうするかということが重要ではないかと、みんな今後につながりそうな意見を出していました。



後半は、農業・農村・環境グループ、社会グループ、高齢化・子育てグループ、観光グループの4チームに分かれてそれぞれがどのような方向性で進めていくかを話し合い、最後に報告を行いました。

 

昨日は神奈川県安全防災局危機管理部災害対策課長金井信高さんにもお越しいただき、各チームの報告に対して、課題を進めるにあたって注意すべきポイントをアドバイスしていただきました。県の方ならではの学生の気づきにくい視点など的確なアドバイスをしていただき、とても参考になったと思います。 


2012年11月7日水曜日

第6回 環境未来都市への道筋 ースマート社会の地域・都市づくりー


第6回の本日は、横浜国立大学 都市イノベーション研究院の佐土原聡先生に「環境未来都市への道筋 ースマート社会の地域・都市づくりー」というタイトルで講義していただきました。



東日本大震災によって自然の脅威・地球環境問題についてより多くの人が関心を寄せるようになりました。地球環境問題はとても複雑でひとつの問題への対応が別の問題を引き起こすこともあります。大量のエネルギーを作り出すために化石燃料を使うと温暖化物質が発生し、気候変動の連鎖が起こってしまうのもひとつの例です。


これからの地域・都市づくりは、生活者の視点に立ったトータルのリスク低減が必要であり、そのために地球環境問題への緩和策(平常時:低炭素化)と災害への適応策(非常時:防災)を合わせたアプローチが求められています。


気候変動の緩和策として日常の省エネ・省CO2を実現するためには様々な段階があります。
エネルギー負荷の小さい都市構造や建築をつくったり、環境資源や自然エネルギーを活用して負担を減らしたり、地域冷暖房などによる高効率化によって消費量自体を減らしたり、環境負荷の小さい未利用・再生可能エネルギーへ転換したり、といった具合です。


地域冷暖房はみなとみらい地区で行われていたり、新横浜では建物間エネルギー融通が行われている施設もあります。海外に目を向けるとさらに先進的な事例も数多くあります。


地方の大規模発電施設から送られてくる電力に依存するのではなく、コージェネレーションのような分散型自立機能拠点のネットワークを形成し、電力依存の少ない熱源によるエネルギー供給システムも利用しながら、それぞれの地域で外部依存の少ない地産地消の未利用・再生可能エネルギーを利用していくことがスマート社会実現において大切です。

今はあまり行われていないエネルギーの面的利用マネジメントなど、地域という小さい単位でも行うべき地球環境防災策があるということを教えていただきました。