2016年12月26日月曜日

地域創造論2016年度 第11回 中間発表

1219()は第12回の地域創造論は中間発表をおこないました。

発表内容は以下の通りです。

■商店街と情報化(鎌倉)
 鎌倉界隈の商店街など有名観光地ではないローカルな魅力を掘り起こし、外国人観光客に向けてPRする仕組みを考えます。鎌倉観光の商品として確立していない、鎌倉の生業が培った工芸技術や食材を地元住人向けに加工した商品に注目します。こういった情報は、留学生の間では普段ワード・オブ・マウスで伝わることが多いようで、その構造を分析しつつ、年末に行う現地でのアンケート調査をもとにマーケティング手法を考えます。またアンケート調査では日本での滞在期間や鎌倉での宿泊の有無も合わせて調査し、結果によって、古民家のゲストハウスやツアープランをプログラムとして加え、鎌倉のリアルなライフスタイルを追体験してもらうことも考えています。そういったプロジェクトを商店会など地元の主体を把握しながら店主や職人を巻き込み企画することで、住民のまちづくり意識を醸成させ、鎌倉文化やそれを生み出す生業が持続する一助になれば良いと考えています。
 






■遊休別荘地をスローコミュニティーに(葉山)
 葉山町、逗子市エリアで若いフリーターを対象に就農・就漁プログラムを実施し、若者自立支援と1次産業活性化を行います。都会で忙しく働くよりも、地方の小さなまちのコミュニティに入りのんびり暮らす方が向いていると思われる若者に、地方でのインターンに参加してもらい、業務スキルの習得、ライフスタイルの適正判断をする機会を与えるというものです。農業・漁業の年間の繁忙期の違いからスケジューリングを行い、複数の協力主体とコミュニケーションをしてもらいます。また、滞在場所は葉山の別荘で、オーナーがいない期間に滞在します。収支についてはインターンで得た物資も含めた給料から別荘使用料とマネジメント組織の運営費を捻出できればと考えています。また、空き家活用事業を並行して行い、プログラム修了後の定住機会も提供したいと思います。
 






■元高級温泉地再生(湯河原)
 提案対象地の湯河原は万葉集から語られる歴史ある温泉街で、中世から湯治場としても親しまれてきました。高度経済成長期には町営のお湯の循環システムが整備されています。しかしバブル崩壊以降観光市場が減る中、高級路線を変えなかった旅館が多くあったことが拍車をかけて温泉街湯河原は衰退しました。高齢化率も神奈川県で二番目に高く、2040年には老齢人口が生産年齢人口を超えると予測されています。そこで提案では、温泉の観光資源を生かしてインバウンドを増やすことと、高齢者の地域ケアを複合的に行うマネジメントの仕組みを考えたいと思います。特に湯治文化を生かして都心の生活に疲れた人に向けた中長期の観光プランを考えます。近距離に集まる公園、自然、旅館の魅力を高め、お湯の循環システムをPRしながらそれをつなぐモビリティの充実、地元高齢者の関与の方法を検討したいと思います。
 






■多文化共生とキャンプ(川崎)
 キャンプを通した多文化共生の提案を行います。高度経済成長期に京浜工業地帯の工場で働く労働力として多くの外国人が住み始め、自治体としても先進的に多文化共生の取り組みを行なっている川崎市を対象にします。特にケーススタディとして池上町と桜本を調べています。公的な多文化共生の施設として児童向けにはふれあい館と隣接する桜小学校、高齢者向けには憩いの家があります。ヒアリング調査に協力いただいた桜本の憩いの家ではチラシを作成し精力的に広報を行なっていますが、外国人の参加率は低いのが現状です。また中間層の交流機会が少ないことが課題としてあります。そこで提案では広報の仕方を工夫し、取り組みの認知度を高めることと、交流の質を高めるため新しいコンテンツとして、児童と中間層をターゲットにしたキャンプを提案します。キャンプは二種類あり、一つは長期休暇を利用した山村でのサバイバルキャンプです。もう一つは、気軽に参加でき、防犯訓練も兼ねたキャンプを桜本界隈で行います。密度の濃い交流とそれを日常に定着させる方法、また活動を持続するためどういった行事や地域性と絡め、協力者を作るのかを今後検討します。







本日は以上です。

次回以降は1月30日(金)の最終発表まで、グループワークとなります。

2016年12月17日土曜日

地域創造論2016年度 第10回「ファブ・クリエイティブ都市論」

 12月12日(月)は第10回地域創造論で、都市イノベーション学府の野原卓先生から、「ファブ・クリエイティブ都市論」というタイトルで、日本の工業都市空間の変遷から、現在先生が取り組まれている活動も含めたものづくりのまちづくりの新潮流について講義をしていただきました。

近代都市計画は産業革命に伴う都市問題を回避することを主眼とされ、モノの生産と消費を意図的に乖離させました。第二次産業はより賃金の安い場所に移転する傾向となり、国内からも離れるようになりました。その結果、特に地方都市においては職と雇用がなくなり、大きな衰退の原因となっています。モノとまちの関係を再構築する必要あります。
 工業都市に関する課題の解決策として創造都市という考え方が1970年代以降世界的に注目されています。創造産業の生産性や文化芸術によるアメニティ向上に注目したこの考え方は極度にスラム化した西洋の都市においてはとても有効な考え方です。しかし、職人の技術力があり第二次産業が西洋ほど弱体化していない日本においては、工業と創造産業のハイブリット構造を構築することが重要です。
 野原先生は現在大田区を対象におおたクリエイティブタウン構想を掲げ、新技術を有するベンチャー企業を含めたものづくり企業のネットワーク構築に取り組んでいます。拠点同士が協力し、魅力を高め合うことで、面開発をせずとも産業振興・空間づくりを行うことができ、縮小社会において望ましいまちづくり手法と言えます。

 今回は以上です。

次回は1219()で、中間発表となります。

2016年12月8日木曜日

地域創造論2016年度 第09回グループワーク

125日は第九回地域創造論で、グループワークを行いました。
各グループでディスカッションをした後、進捗と中間発表までのスケジュールについて3分間の発表をしました。

発表内容は以下の通りです。

■多文化共生チーム
多文化共生の取り組みが活発な川崎を対象に各自情報収集を行なってきました。今回はその情報共有と、留学生が多いグループということで、多文化共生の日本的な意味についてすり合わせを行いました。多文化共生の取り組みは教育、雇用、保育など多岐にわたるテーマがあるため、中間発表までに現地調査を含めさらに情報収集を行い、テーマを一つに絞ります。

■観光グループ
鎌倉を対象に観光とまちづくりをつなげるような提案を行う予定です。特に江ノ電沿線のローカル情報を見える化し、外国人のインバウンドを増やす仕組みづくりに挑戦したいと考えています。今回は留学生が実際にどのようにして観光情報を得ているのかを共有しました。中間発表までに現地調査と身近な外国人へのアンケート調査を行おうと思います。

■エリアマネジメントグループ
対象地の選定と対象地に関する文献調査を行ってきました。グループ内では高齢化、旅行に興味がある人が多かったため、高齢化率が高く有名な観光資源もある湯河原を対象にしています。湯河原で観光資源に注目した場合、高齢化以外にも廃業した温泉旅館の空き家問題も重要であるとわかったため、それに関する文献調査もさらに行います。また、今週末には現地にも足を運びたいと考えています。

■若者支援グループ
二十代前半のフリーターを対象にした提案を考えています。働く意思のある人が正社員になるサポートの仕組みを考えていて、農業や漁業などと絡めたジョブトレーニングについて検討しています。今後は具体的な事例のケーススタディとしてパソナの神奈川県内の取り組みを調べたいと思います。

今回は以上です。


次回は1212()で、都市イノベーション学府の野原卓先生から、「『町工場のもつ最先端技術と職人のワザが地域を変える』観点から新しいまちづくりの可能性」について講義をしていただきます。

2016年12月4日日曜日

地域創造論2016年度 第08回「3Dプリンターが拓く次世代ものづくり」

1128日(月)は第8回の地域創造論で工学研究院の丸尾昭二先生から、3Dプリンターが拓く次世代ものづくりというタイトルで講義をしていただきました。

 3Dプリンティング技術は、いくつかの方式があり、造形物の素材や精度で使い分けされます。また、製品作りができる精度のある3Dプリンティング技術を以前の試作製造(Rapid Prototyping)とは分け、Additive manufacturingと呼びます。Additive manufacturingの役割は、①複雑形状・軽量なデザインによる高付加価値製品、②分散型生産システム、③個人ニーズにきめ細かく対応するオーダーメイド多品種・少量生産があります。これにより大量生産・大量消費から多品種・少量生産による豊かなエコ生活とライフスタイルが変わる第4次産業革命が起きるとドイツが提唱しています。

 製造方式と産業の変化をうまく捉え、ビジネスに展開することで地域創造にもつなげることができます。椅子の製造販売をケーススタディにして地域の生産性を高める方法を考えてみます。椅子の製造段階では、荷重の形状最適化で3Dモデリングをすることにより人間が想像できなかったようなデザインと材料の節約をすることができます。また、客の要望を聞きながらネット上でデータのやり取りや、廉価な機種もある熱溶解積層方式の機器などを使用してスタディをしながら理想の椅子を共創することができます。販売段階では、ネット上で商品を紹介し、市場の反応から予算を決定しクラウドファンディングで資金を調達し高精度の造形機器を保有する業者に発注することで在庫を抱えるリスクを抑えることができます。これにより、個人でもアイディアさえあればビジネスを展開することができるため、場所のしがらみが軽減されます。
 地域内で活動する人のハードルを下ることでまちづくりの企画が立てやすくした後は、Fablabやディアボスティーニの意見交換サイトなどを参考にプラットフォームを作り、ボランタリー経済や、贈与経済などを意識して持続可能な運営を行うことで地域創造を行うことができます。
 実際に横浜国立大学でも、産官学連携組織を作りオープンイノベーションの取り組みを行っています。神奈川産業教育センターには丸尾先生が研究されている光造形方式のプリンターを設置し最先端の技術を使い製品づくりの機会を地域の方に提供しています。


本日は以上です。

次回は125()で、グループワークとなります。

2016年11月27日日曜日

地域創造論2016年度 第07回「地産地消の創造型ビジネスと新ライフスタイル」

 1121()は第7回目の地域創造論で、岩手大学COC推進室の赤木徳顕先生から地産地消の創造型ビジネスと新ライフスタイルというタイトルで講義をしていただきました。

前半は赤木先生からご自身が経営されているレストランや農作物の配達サービスについて、また現在岩手大学で取り組まれている活動についてご説明をしていただき、後半は岩手でスリーピークワイナリーというワイナリーを経営されている及川さんからSkypeを使って、起業経緯や地域との関わり方などについて質疑応答形式でお話ししていただきました。
 お二方とも、食をテーマにビジネスをされていることや地域や人の交流を意識されていることなど共通点はありましたが、赤木先生は地産地消により地域内で完結する動きに興味があるのに対し、及川さんは震災被害があった地元に多くの人が訪れてくれることに興味がありビジネスを行う地域によって思いや経営の方向性に違いも現れているようでした。
 赤木先生が経営されている配達サービス『神奈川食べる通信』では流入人口が多い都会でブランド化された農作物が少ない神奈川を対象にし、農地を持たないビジネスということで、生産者との一対一の交流機会など手間はかかりますが、定着率を上げることを重視されていました。一方及川さんは農園を持ち、今後は単に拡大するのではなく小さな農園をいくつも展開することでエリアとして価値を高め観光客の母数を増やそうとしていました。

今回は以上です。


次回は1128()で工学研究院の丸尾昭二先生から、3Dプリンティング技術の先端動向と、それが変えるものづくりの企画、生産、活用の将来についての講義となります。