2017年11月27日月曜日

2017.11.27

講師:
国際社会科学研究院・成長戦略研究センター 
梅野匤俊 客員教授

【地域と地域の関係  -  現在・今後  - 】


東京の一極型で人口集中や交通網の構築があるなかで、今後の地方(地域)は各町の特徴を十分に発揮していく必要がある。地方(地域)と地方(地域の)の間をつなぐ好事例として、飛行機による交通網としてFDA(フジ・ドリームエアラインズ)は、地方から地方への工場誘致、市場開拓、観光等を促す特異なインフラとなっている。また、市場を日本国内の大都市に依存するのではなく、地方から近隣のアジア各都市に設定し開拓した方が距離的に近い場所もある。

次に、これからの働き方や場の活かし方について考えてみると、ドラッカーが言う「パラレル・キャリア」として第2の人生、第2の仕事を考えていくことも有効的で、その場合は若い時からパラレルキャリアを意識して活動していき、自らをマネジメントすることが大切だ。

また、オーデンバーグによる「サード・プレイス」を参考しながら、現代における第3の場の力や活動の仕方について考えると、パラレル・キャリアに掛け合わせて「Dual Space(2つの場所)」を持って活動することも言いだろう。

<都市と地方>あるいは<地域と地域>をまたぎながら活動することで、異なる環境、異なる人々の中でで活動することで、仕事や生活の幅に大きな拡がりが生まれる。そして、そのような働き方によっては、東京一極型を打破し、地方にまで経済効果を波及させることができる一策となるであろう。


2017.11.20
ゲスト講師:

南三陸研修センター 浅野拓也さん / 安藤仁美さん

【南三陸町における復興の様子と「みんなのまちづくりゲーム」】

宮城県の南三陸町は、東日本大震災によっておよそ20m程の高さにおよぶ津波が発生し、宅地の75 %が浸水、建物の62%(約3千棟)の被害を受けました。その後、ハード面においては平地の部分は5~6mの盛土がされ、住宅や公共施設は山の斜面を削って造成された高台に移転する計画で復興事業が進められています。

一方で、ソフトの面においては、震災の影響を含めて人口減少の割合は全国ワースト3位であり、高齢者率は3割程度、そのほかにも医療の不足など、課題先進地域としての状況があります。そのため、ハード面におけるゼロからの建て直しと併せながら、日本における最新のモデルとなるようなまちづくりを目指しています。

目指すビジョンは「森 里 海 人 いのちめぐるまち 南三陸町」です。このビジョンの「いのちめぐるまち」というフレーズには、被災地ならではの思いがあります。多くの命が失われた町において、生かされた命をどう使うのか、ゼロからの復興のなかで住民自らが自分の存在意義と、未来へつなぐ自分自身の役目を感じていることが伺えます。
そしてこのビジョンを具体的に進めていくためには、まちづくりへの意識・共有と人材育成が必要になってきます。
そこで人材育成に向けた1つのツールとして「みんなのまちづくりゲーム」が開発されました。

このゲームでは、各プレイヤーが森・里・海・街・都市・行政の立場となって、政策や事業となるアクションを選択しながら、お金や税が廻る状況をシュミレーションし疑似体験できるカードゲームになっています。そして、ゲームの最後にゲーム内容をみんなで振り返ることで、自分たちが選択したまちづくりの方法について評価を行います。まちづくりで大事なことは、果たしてお金を稼ぎ残すことなのか。本当の豊かさとは何なのか。実際に住んでみたい街とはどのような街なのかを議論し、まちづくりに必要な様々な価値観について気づいてもらうことができます。

このようなゲームを通じて、横浜国立大学においても講義で学んだ知識をゲームを通じて疑似体験し、その内容を自らが評価することで、思考能力を育てていき、さらには実際のまちづくりの現場でも活かせられる人材を創出していきたいと考えています。

2017年11月7日火曜日

2017.11.06

講師:
高見沢 実  地域実践教育研究センター センター長, 都市イノベーション研究院 教授

「大学と地域連携」


 例えばサンフランシスコのシリコンバレーでは、大学が持つ研究機能と地域にある企業が連携して、世界的なイノベーションを起こしている。その結果、サンフランシスコはアメリカにおける「創造都市度」ランキングにおいても第2位の位置づけとなっている。そして、そのような地域には、クリエイティブな職能・働き方・環境を求めてクリエイティブな人材が集まる傾向があり、住みたい都市としても人気がある。

 サンフランシスコがもつ都市圏も、神奈川県も、およそ同じ程のスケール・大きさであり、神奈川県内には本学だけでなく沢山の大学がある条件を踏まえれば、大学と地域が連携したイノベーションができるのではないか !?


 そのような考察とビジョンが、これまでに高見澤先生が携わってきた本学における地域実践センターの副専攻プログラム「地域交流科目」や「地域創造科目」をはじめ、都市イノベーション学府、そして都市科学部の設置の根底に反映されていることも感じられた。

 「大学と地域が連携することによる効果は、経済的な指標だけではなく、他の指標による効果も考えられるのではないか。」と講義後に おっしゃっていたことが印象的であった。